何年か前に別れた元彼が、最近結婚したという噂を耳にした。
それだけでもショックだったけれど、追い打ちがある。
噂を聞いたちょっと後、実際に結婚した相手の女性と元彼が楽しげに街を歩いている、その光景を思いっきり見てしまった。
正直その楽しげな姿に見入って数秒間、目線が動かなくなってしまった。
脱力感というのだろうか、こんなショックを受けるとは思わなかった。
別れたんだから元彼として近いうちには結婚するだろうな、とも考えていたし、自分なりに気持ちは整理していたつもりだ。
私の方で一方的に結婚する以前に、付き合いをこれっきりにしようと言い出した。
お互い納得していたはずだ。
なのになぜこれほどにショック?
本当に女の気持ちというのは自分自身でも分からない。
元彼が結婚すれば誰だってショック?その理由は“先を越された”悔しさか
でも、本来だったら、というよりしっかり気持ちの整理のついた女性ならば、以前付き合っていた元彼が結婚したならショックも受けるかも知れないけれど、こうもあからさまに悔しさや憎らしさ(と言っていいのかな?)を出すことはないだろう。
ちゃんとそれを押さえて元彼に表向きだけでもお祝いの言葉でも投げていくかも知れない。
でも私にはそんな度胸も落ち着きもゼロ。
そもそもそんな行動、私には曲芸みたいに難しいことだ。
まだ結婚どころかしっかりした新しい彼氏すら出来ていない私にとっては心底ショック以外の何者でもない。
言ってみれば、“自分は先を越された”ということ。
悔しさ、驚き、そして私の方から付き合いを断ったにせよ、結局は元彼に何かの未練もあるのだろうか。
逃した魚ほど大きく見えるのは本当!付き合っていたときは分からないもの
つらつら自分の止めどない心境を述べてしまったけれど、結婚されてしまった以上、まずよりなど戻るわけがない。
そんなにショックとか悔しさ、未練が残るほどに心が波立ってしまったというのに、私がなぜ元彼を振ったのか?
同じ轍を他の女性に踏んでいただきたくはないので少し語ってみたい。
(ちなみに、私は今泣いてます)
付き合っている内にどうしても鼻についてきた彼のクセというか。
同棲っぽいことまでしていたのだが、そうなると日常生活の起居進退まで一緒になる。
そうすると、今までデートしているだけでは見えてこなかった彼のアラというのが分かってくる。
けれども、いざ別れてからこうして元彼が結婚したという知らせを聞くと、確かに失ったものは小さくない。
そして、自分の後悔や未練がつのるほどに「逃した魚は大きい」という実感が湧いてくる。
同棲中はお互いの欠点がクローズアップされてしまう
ただ、私も同棲というのは当時初めてだった。
そのせいか、どうしても相手のちょっとした欠点が見逃せず、鼻についてくる。
雑用を分担してやってくれない、約束を破る、自分の嫌いな人(男性)としょっちゅう付き合っている。
まあここまでは許せるかも知れない。
でも、同棲中に初めて分かったのだが、その元彼、自分に黙っていた元カノがいた。
その元カノとしょっちゅう会うことが後になって分かってきた。
で、私はある晩、やんわりとそのことを指摘し、「いつ、どこで、何を、彼女と一緒に」しているのか答えて欲しいと詰め寄ったことがある。
そうしたら元彼がぶち切れた。
私自身、オフィスワークで細かな仕事に慣れているせいか、自分でも自覚しているのだが元彼にいろいろとチクチク細かい小言を言ってしまうことが多かった。
それを元彼の方ではふだんから快く思っていなかったようだ。
そしてその時の私の問い詰めを契機に、どっと鬱憤が噴出してしまったらしい。
いきなりぶち切れたと思ったら、今までの事を全部蒸し返すようにして
「お前は俺がそこまで憎いのか?そこまで嫌いか?もうこんな生活ヤメだ!」
と怒号。
言われた私もショックで泣いた。
その後は石が坂を転げ落ちるように別れの手順を事務的に処理。
同棲もやめた、そして私が出て行ったわけだ。
でも後々、よく考えてみれば私も我を通しすぎていたのかも知れない。
自分の思い通りの人では無かった、だから別れて正解とも考えたが、私にだって悪い部分があった。
そういう冷静さも出て来るようになってきた。
そして、自分で思い込もうとするほどには元彼とは相性が悪いわけではない、そういう気持ちにもなったものだ。
でも、結局はっきり別れたのだから、未練は残すまい、新しい相手が見つかったら元彼とのことを教訓にして仲良くやって行こう、みたいな気持ちでいた。
結局自分がまだ結婚しないのが大きい
でも、くどいけれどそんな風に自分の気持ちを自分なりに整理していたと思っていても、いざ付き合っていた相手が結婚したと言われてしまうともうショック。
何でショックなのか、泣けてくるのか。
ヘンな話だが、その理由も自分で分からないほど動転している、というべきだろうか。
友人の女性で、既婚者がいるけれど、その彼女と話したことがあったけれど、ショックを受けるのはほかでもない、やっぱり自分の方がまだ結婚しておらず、取り残された形になっている。
そのせいだ、という。
「わたしも結婚する前には、付き合っていた人が私の親友と結婚したなどと聞いたことがあったけれど、その時は本当にショックだった。
でも今はそんな気持ち、全然感じないよね。
時々そういう風なニュースも耳に飛び込んでくることあるけれど、私も結婚して家庭を持ってみると、現実見え見え。
結婚してない人から見れば憧れというか、ゴール地点なのかも知れないけれど、結婚 しちゃうと、そんな憧れのような気持ち、吹っ飛んじゃう。
家庭生活ってこんなものでしかなかったんだ、みたいに」
未婚の私が推測するのはちょっとおこがましいけれど、結婚して家庭を持つと言うことは、結局は実生活。
恋愛しているときのような夢見心地になれるようなものではない。
だから彼女のセオリーをとるとすれば、言元彼の入籍のショックも、私が先に結婚していればそれほどでもなかっただろうし、この先結婚することで薄らぐことは確かに違いない。
ちょっと時間はかかるに違いないが、このショックをバネにして、自分の出会いへの努力に昇華していく。
それが一番の良策だと思うがいかがだろうか?
阿部しおり