小林麻央さんが標準治療、つまり病院で普通にがん患者が受ける手術、放射線そして薬物による治療法を全く受けず、気功などの民間療法などに頼っていたことが改めて明らかになってきている。
確かに今の標準治療、護身の話もあれば病院ごとに治療レベルの差だってあるかもしれないが、だからといって果たして根拠も実績も乏し気な民間療法に全面的に頼るべきだったのか?
亡くなった小林麻央さんの事をあげつらうようで気が引けるが、小林麻央さんの病死によって今、民間療法に対する疑問視が噴出する一方で標準治療に対する世間の考え方が変わってくるのかもしれない。
それにしても、市川海老蔵さんと小林麻央さん夫婦は、どうしてそういう「道」を選んでしまったのだろうか?
今生きている私たちにはもしかすると大きく関係してくるかもしれないので、語ってみたい。
民間療法とは?なぜ小林麻央は標準治療を受けようとしなかったのか
民間療法もいろいろで、基本的に私は「医師の手によらない治療法をさす」ととらえている。
だが、そのため中には祈祷やまじないなども含んでしまうし、そうでなくとも効果の曖昧ないかがわしそうなものなども多い。
小林麻央さんがあえてリスクを犯すようにしてそういう民間療法に頼り切り、標準治療をかえりみなかったということが、今大きく謎になってしまっている。
普通の人ならば、まさかがんにかかった場合に病院の標準治療を全く拒否して民間療法などに頼り切りになるはずがない、ましてや小林麻央さんは元有名キャスターでもあり、そしてまた、自身の母親がおなじ乳がんにかかっている。
その病気の怖さを小林麻央さんは知らないわけはないし、母親だって標準治療を受けていたはずだ。
そういう小林麻央さんが民間療法に何故こだわり、母親も受けていたはずの標準治療を拒否していたのか?
思うのだが、そこにはいざ自分が患者の立場になった時の大きな心の揺れ、気の動転と言うのを無視することはできないだろう。
よく言われる“藁をもすがる思い”でになってしまう、ということ。
小林麻央さんは、母親の辛い病状を目の当たりにしてしまい、自分だけはああいう経験はしたくない、という思いが強かったのではないだろうか?
もうひとつは周囲の人間関係もあるに違いない。
立場上、多くの有名人との交流もあったろうし、また家庭内では夫の市川海老蔵さんが気功や占いにもこっていて、ある風水師とは家族ぐるみの交際をしていたことが明るみに出てきている。
そういうスピリチュアルとか霊的なものなど、言ってみれば科学的に全く根拠がない物に夫を通じて影響されてしまっていた。
そんな可能性も否めない。
正直な話、標準治療というのは多くの女性にとってそれが早期発見であろうと乳がんという病気は胸の全摘手術、あるいはそれに近い切除手術がつきまとう。
そして辛い抗癌剤投与や放射線治療による抜け毛なども体験することになることだって多い。
多くのがん患者の方々も当然だが、女性、特に小林麻央さんのような若い女性にとってはとりわけ耐え難い治療になる。
それを母親の治療の様子などでまざまざと見ていた彼女は、やはり標準治療が怖くなってしまったのではないだろうか?
同時に、そういう必要はない、こうすれば治るという甘い囁きで誘惑する気功などの民間療法へと心が折れてしまったということではないだろうか?
夫の影響も?情報過多に揺り動かされた(?)小林麻央
だがよくよく考えてみれば、それが医学的・科学的な立場から考えて最も安全で成功率の高い治療法だということ。
過去から現在の精密なデータの結果としてわかっている。
だから標準治療として医学的に認められ、形やレベルは病院ごとに多少とも異なることがあっても最も大切な“治し方”になるといえるはずなのだ。
この辺すごく私は 小林麻央さんと一般の人達との情報網の差のようなものを感じてしまう。
乳がんに限らないが、一般の人だったらがんにかかれば当然のように標準治療に向かう、というのが普通の姿になるだろう。
その標準治療だってがんとなれば相当な治療費がかかることは常識だ。
一般の人たちのように、大きな収入もないなら、当然保険も効く中で、それでも「最小限の高額医療」となる標準治療に向かうこととなるだろう。
だが有名な歌舞伎役者・市川海老蔵さんと結婚して、自信も名の売れているキャスターだった小林麻央さんは一般の人よりも非常に高額になる民間療法へと進みやすかった、という理由があるかもしれない。
しかも標準治療のように全摘手術などの「怖い」経験をしなくて済むような治療の方法があると聞き、お金の心配さえないとなればそういう民間療法にもかなり手を出しやすかった、そういう誘惑に彼女はほだされたのではないだろうか。
夫や自身の職業柄、そういうレアな情報をもたらしてくれる情報網も多かったに違いない。
“高いお金も払えるから、いたずらに母親のように辛い思いをしなくて済むはず”
そういうところだったのではないだろうか。
常識によるバランスを考えることが大切に
新聞や雑誌、そしてネットの広告を見ると様々な民間療法の宣伝がいくらでも載っている。
その効果については大きく盛っている場合だって十分あるだろう。
そういう媒体に高額の広告料を払って掲載してもらうので、メディア側もそれをシャットアウトはできないというのが現状なのだろうか。
だが、そういう情報の海を上手く泳ぎ渡るには、最も信頼性の高い人達や情報源から正しい知識を得ることが最も大切になる。
自戒を込めて言うのだけれど、女性というのはとかくそういう情報にほだされてしまいやすいというのがあるかもしれない。
女性にとって気づきにくい、それでいて場合によってはとてつもない大きなリスクといるのではないだろうか。
常識のバランスを持つこと、しっかりしたソースから正しい情報をえて、その上で「身を切る」ことが最も大切だったらそうするしかない、その勇気を持つことが求められるのではないだろうか?
小林麻央さんが頼り切っていた民間療法、そして拒絶していた標準治療の大切さが改めて問題になっているけれど、同時にそれをそのままにしておいた夫・市川海老蔵さんにも焦点が当たっている。
北斗晶さんが同じく乳がんにかかった時、胸部の温存を考えていた彼女に対して摘出手術を強く勧めたのは夫の佐々木健介さんだった。
こういう二組の夫婦に見られる意味は深いものがあるかもしれない。
最後に。
民間医療とか、スピリチュアルな要素を否定するものではないけれど、“依存型”になって、それ以外に目が行かなくなるのは危険に足を踏み入れる第一歩。
そう言い切って良いのではないだろうか。
野天希(かんのあまね)