保湿剤として知られているワセリン。
そのワセリンが、痔に塗ることですごく症状を改善してくれることをご存じだろうか?
ワセリンはやけどや擦り傷に塗ることでも患部を保護して乾燥を防いでくれるが、痔に塗るのも同じ意味がある。
特に切れ痔に塗ると、素晴らしい効果があるようだ。
切れ痔などの症状で皮膚科を訪れたりした経験のある方はご存じだと思うけれど、患部に塗る薬として処方されるのがこのワセリンになる。
その効果と塗り方、さらに注意も添えてご紹介してみたい。
効き目は素晴らしいけれど、結構クセがある薬だから、漏らさずぜひしっかり知っておいていただきたい。
白色ワセリンで十分!痔に塗ることで傷口を保護して便通が楽に!
顔や肌の保湿に使っているはずのワセリンが、痔に塗ると言う方法があると聞くとすごく盲点に感じてしまう人も多いのではないだろうか?
でもワセリンは元々皮膚にできた傷や火傷ができた時などによく使う。
私も指を火傷した時に塗って、ヒリヒリを抑えることができた。
自分で塗っておきながら火傷の痛みがスッと消えたのですごいな、と感心したほどだ。
特に切れ痔になった時には便通があるたびに出血して、お尻を拭いた後の紙にばっと赤い血が付いたりしてしまうものだ。
普通は焼け付くような痛みだけれど、ひどくなると場合によっては排便後も血が止まらず、下着に付着したりしてしまう。
そんな時、ワセリンを痔に塗ることで傷口を保護しておく。
そうすれば保湿もできるしすごく治りも早くなる。
なお、ワセリンはいろいろ種類があるけれど、普通なら安価な白色ワセリンで十分だ。
医者に行ってもこれを処方されるはずだし、第三類医薬品として純度も信頼性も高い。
塗り方:個人的には指で直に塗るのがおすすめ
その痔に塗る時の塗り方だが、ティッシュや薄いビニール製の手袋を買ってきて、それを手につけて塗るようにすれば良い。
個人的にはちょっと汚いと思うかもしれないが、指でじかに塗りつけるのをおすすめしたい。
その理由は、指先が一番傷に正確に届くからだ。
やってみればおわかりになると思うけれど、手袋とかティッシュは傷を正確に突き止めづらい。
もちろんいずれの場合であっても、指や手袋などは傷を触ることになるから清潔にしておく必要がある。
排便の前と後に塗ること!排便前に塗るとこんな効果が!
そしてこれも絶対押さえておいていただきたいのだが、一度の排便に対して、その前と後、都合2回塗っていただきたい。
この理由は、次のようなメリットが大きいためだ。
まず排便前にワセリンを塗ると、二つの効果がある。
・潤滑油の役割をしてくれて、排便が楽になる。
(本当にストンと便が出てくれる)
・傷口を保護し、便が付着して不潔にならない様にしてくれる。
切れ痔で困るのが、痛みや出血もそうだけれど他にも排便が終わってお尻を拭いた時、どうしても傷口に便がなすりつけられてしまうことだ。
あらかじめ痔に塗るとこれを緩和してくれるので、傷口の清潔度も増すし治るのも早くなる。
これらのメリットをぜひ忘れないでいただきたい。
排便後に塗るのも忘れずに!
そして排便が終わった後も同じく痔に塗るようにしていただきたい。
切れ痔などの方は肛門周りに傷ができているわけだが、お尻を拭いた結果、その部分の湿気が奪われて乾燥することになる。
これがやはり傷にとっては悪いことになる。
傷口というのは普通の皮膚よりも弱くなっている。
特に乾燥には弱いからだ。
そのような傷口の乾燥を防ぎ、保湿をするためにワセリンを塗ると考えていただきたい。
注意!これだけは気をつけて!
ワセリンを痔に塗るという方法は、実際に医者も患者にそういう処方を伝えるわけだから、よほどのことでも無い限り間違った方法にはならない。
もちろん、他に別な病気などがないとか、単なる切れ痔という症状の場合に限ることとなる。
しかしながらやはりそれでも注意しなくてはならないこともいくつかあるし、すごく大切なことになるのだ。
それらはしっかり知っておく必要がある。
注意1.ベトつくから塗り損ねないように
まず、ワセリンを保湿剤として化粧の時に使った経験のある方はとりわけ身をもってご存じのはずだけれど、基本的にベトつく物質になる。
痔に塗る時に別なところにつけてしまったりして気づかないで下着をはいてしまうと、後で下着がゴワゴワしてきたりして困ったことになったりするものだ。
どうしても自分の目の届かないところに塗ることになるので、細心の注意を払う必要がある。
注意2.塗りすぎはNG!
もう一つは“塗りすぎ”。
確かに傷や火傷、そして痔に塗るなどなど、多くの使い方ができるけれど、それでも万能ではない。
ワセリンは確かに皮膚から水分が蒸発するのを防ぐ効果が抜群だけれど、皮膚の下でしみ出してきた水分をもとどめてしまう。
と言うことは、長時間塗ったままにして、気温や湿気の高い環境で長らく過ごしていると、逆に不潔になって皮膚にダメージを与えることになる。
だからいったん塗った後は入浴などの時にこまめに洗い落とし、そしてまた塗り直すことが大切だ。
さらには、皮膚を“過保護”にしてしまう恐れがある。
これは、ワセリンの優れた保湿効果によって、特に長時間、長期間常用していると、皮膚の自然治癒を助ける代謝能力が衰えてしまうのだ。
ワセリンを顔に塗る時には、手のひらに米粒大を薄くのばして顔に押しつけるように塗る、と言うのが一つのセオリーになる。
薄くのばす理由はこんなところにもある、ということを覚えていただきたい。
痔に塗る時には、ここまで心配する必要もなさそうだが、神経質なあまり、いつも使うようになっている方はひとまず注意した方が良いだろう。
放っておく間に再発しないためには
最後になるけれど、切れ痔などはこうしてワセリンで治していけるわけだけれど、やっぱり切れ痔や痔になりやすい人というのはいる。
だから、あくまでもこういうのは一時的な対症療法の一つとして考えて行くべきだし、もっと根本的に治せる方法を突き止めていく必要があるだろう。
でも相手は痔。
一口にそう言えても実際にはなかなか難しいかもしれない。
様々にご自身の体質とか食生活など、日常生活のレベルから長期間のスパンで向き合っていく必要があるに違いない。
神野天希(かんのあまね)