深呼吸といえば、すぐにピンと来るのがあのラジオ体操の前と後で行う呼吸の仕方。
単に深く呼吸をするというのが深呼吸になるのだが、この簡単な運動が実はすばらしい健康増進の効果がある。
このことを知らない人は意外に多い。
セロトニンを増やすという深呼吸の効果は知っておいて絶対に損はない。
セロトニンとはいったい何か?
と問われたとき、一言で応えるとすれば“人を幸せにしてくれる物質”。
決して誇張ではない、医学的な事実となる。
これだけでもすごいと思われるのではないだろうか?
「幸せのホルモン」セロトニンと深呼吸は切っても切れない!
正しい仕方は後でお伝えするけれど、まずこのセロトニンというのは何か?といわれれば、精神を安定させてくれるホルモンの一種。
その効果からセロトニンを別名「幸せのホルモン」と呼ぶことも多い。
そして深呼吸をすることによってこのセロトニンを体内で増やしてくれる効果がある。
実際、このセロトニンが不足してしまうと逆に情緒不安定になったり、不眠症にかかったりもする。
うつ病の人にはこのセロトニンが不足しているというのはよく指摘されていることだ。
元々気分が激高していたり、心配事がありすぎて仕方がなかったり、スピーチなどをすることになっていて、その直前で上がってしまったりした時にはよく深呼吸をするようすすめられた経験を持つ人は多いだろう。
それは皆このセロトニンの効果が裏にあると思ってよいかも知れない。
そういう気持ちが不安定な時にこそ、やってみればわかるとおり、気持ちが落ち着くものだし、その大元はこのセロトニンのおかげなのだ。
もちろん他にも深呼吸自体、適度に上半身を体の内部から動かすので、そのリラックス効果もある。
深呼吸はセロトニンを増やす効果だけではない
そういうわけで、深呼吸はセロトニンを増やす方法の一つとしても有意義なものだが、さらにセロトニンの効果を探ってみればまだいろいろなものがある。
上でお伝えしたとおり、精神の安定に非常に関わってくるが、その結果としてストレスに抵抗力が出てくる。
そして自律神経のバランスも整えられるし、不眠や過眠を防ぎ、質の高い睡眠をもたらしてくれるのだ。その結果として、美肌など美容効果にも役立つこととなる。
セロトニンだけでもこれだけの効果が期待できるのだが、それを生み出す深呼吸はある意味それ以上に様々なよい効果がある。
まず深く息をすることで、横隔膜を上下に動かすこととなる。
実はこれがダイエット効果にもつながるし、大きく息を吸って吐くことが結局姿勢を正すことに直結するのだ。
そしてセロトニンと同じく自律神経も整うし、代謝や血行も改善してくれる。
信じられないかも知れないが、上半身を呼吸によってまんべんなく動かすことから、肩こりまで楽になるのだ。
目標は毎日15分、できれば30分
深呼吸のすごいところはこういう効果が運動もせず、自室にいながらにしてできてしまうことにもある。
ただ、運動と同じで継続、そして短時間でも良いからできるだけ毎日続けることがオススメになる。
私がやっているのは、呼吸の頂点で息を止める方法だが、難しいと思う方は吸う時、吐く時に10~15秒かけてゆっくり行うのがオススメだ。
これを最低でも15分、できれば30分継続して行うこと。
セロトニンは深呼吸を継続して10分後に分泌されるためだ。
普段忙しくしている人ほど、わずか15秒の吸う、吐く行為で戸惑うかも知れないけれど、やっているうちに必ず慣れる。
時計をわざわざ見る必要はないので、心の中で「いち、に、さん・・・」と秒数を数えるくらいで大丈夫だ。
とにかく毎日継続することが大切になる。
肩こりの自覚があったら深呼吸を
ただ、本来的に言えば健康を本当に増進したいのであれば毎日の規則正しい生活への努力や、運動不足の見直しも必要になるだろう。
実際セロトニンは日光を浴びることによって体内に生成されることが知られているし、またうつ病の人が光照射による治療を受けたり日光浴を医師から課せられたりすることもよく聞く話だが、これもやはりセロトニンを作るためにさせられる。
私の場合には、仕事で忙しすぎるとつい忘れてしまうのだが、ちょっと息抜きのできる時間があればベッドやいすに座って行うように心がけている。
簡単すぎる健康法なので一見ありがたみが薄く感じる人も多いかも知れないが、やってみればおわかりの通り、気持ちが落ち着いてリラックスする、その効果はすばらしいものがある。
また、肩こりを感じるようになった時にはやっぱり深呼吸。
結局肩こりというのは肩周りの筋肉を動かさない習慣がついて萎縮してしまうこと、そして上半身のバランスが崩れることから起こってくる。
こういう肩こりの原因を一気に解決してくれる、非常に大切で簡単な「呼吸の運動」になる。
ぜひぜひ毎日の生活に取り入れていただきたい。
水野江麻