線香についた火。
その消し方ってご存じだろうか?
手をかざして振る、持ったまま振るのが一番手っ取り早いと思う方も多いだろう。
線香の消し方に決まったルールはない。
振るのでたくさん、いつも口で線香を吹いて消しているという方だっていたりする。
ただ、やっぱり「こういう消し方が正しい」というマナーのようなものはあるし、その中でも一番良いのはある人のまねをして消す方法。
それを知っておけばとっさの場合にも慌てないでよいし、法事など大勢の前でも安心だ。
一番良い消し方は“専門家”のまねをすること!
消し方として、線香をもったまま振る、という方法を主張する人も多い。
そして逆にNGなのが、線香を吹いて火を消す、という消し方。
人間の息にはおなかの中の不浄な要素が含まれてしまうので、それを清浄な仏壇や法事の場所でやるのはあまりふさわしくない、という考え方だ。
でも振るよりも吹いた方が確かに消えやすい。
だから消し方にこだわって振るよりも確実に消した方がよい、という人も多い。
一番良いのは、あくまでも消し方をしっかり知っている専門家のまねをすること。
要するにお坊さんのやり方をまねるのだ。
お坊さんは毎日線香を消している専門家。
まねて全然損はない。笑
二通りの消し方を伝授!①タテに振る
そこでお坊さんが実践している消し方が二通りあるので、ぜひ知っておこう。
まず、手に持っている線香に火がついているとき。
この場合は、やっぱり「振る」のが正解。
ただ、私たち素人がやっているような横にバタバタと振ってしまうのではない。
タテ、つまり垂直にさっと下げて振る。
こうするとあら不思議(笑)!
横に振るよりずっとあっけなく火が消える。
しかも横に振ると灰が落ちたりしてやっかいだけれど、タテにちょっと勢いをつけると灰も飛んでいかない。
この線香の消し方、お坊さんがやっているところを見た方も多いはずだ。
お寺の本堂で法事や葬式などに出席した際、お坊さんが上座に座ってお経を唱えている際などにやっている。
やってみればおわかりになるけれど、同じ振るということでも、方向の違いでこうも変わるのか、と思えるほどだ。
ちょっと私も感心した。
ぜひまねていただきたい。
②片手をかざしてもう一方の手を振る(扇ぐ)
もう一つは、香炉や線香立てに立てた時の消し方。
これもよくあるパターンだ。
このときにはまず利き腕でない方の手のひらを、立てている線香をくるむようにかざしておき、それを利き腕の方でバタバタあおって消す。
片手だけであおって消すとなかなか消えないものだが、こうやって手のひらでくるむようにすると、手の中で風圧が増す。
それで消えやすくなる、というわけだ。
この二つの方法、簡単だし、いわばお坊さんもおすすめな方法と言えるだろう。
ぜひご活用していただきたい。
消し損ねた私の失敗!まねしないでくださいね!笑
なお他に、中には外のお墓に線香をあげた経験のある方も多いに違いない。
お墓につくられている線香の置き場は、タテにするものと横に寝かせておく式(線香受け)のものがある。
タテに備えるのは上の②のやり方をしていただければ基本大丈夫。
でも大抵はお墓と同じ石造りで、そのときは横置きがふつうになるはずだ。
そんな横に置いた線香の火をどうやって消すのか?
と思うけれど、これだけは私もそういう法事に参加した中で見ていると、
・思いっきり吹いて消す
(男性に多い)
・火がともったままにする
(消しにくいからしょうがない、このままで良いよね?という感じ)
の二通りだろう。
だが私はある法事の時に、これを強引に手を振ることで消そうとしたことがあった。
お墓につくられた線香受けというのは、仏壇のものよりも基本的に手が近づけにくい。
だから私は横に寝ている線香に向かって、左右30 ㎝くらいの幅で思いっきり数回あおって消そうとした。
そしたら横に置いてあったバケツにバチンと振る手が衝突。
ブリキ製のバケツがガラガラと派手な音を立てて転がる。
中に入っていた水とひしゃくも、墓の横にぶちまけてしまった。
ボロボロに赤恥をかいたことは言うまでも無い。
私の後ろにいた数人の叔母さんたちが苦笑いしていて、クスクス声を押し殺している、それがいまだに離れない。
どうかまねをしないようにしていただきたい。
(というか、私の他にそんなことをする女性はいないだろう。笑)
冬は消してもまた火がついてしまう?
ただ、こういう消し方をいくら知っていても太刀打ちできない場合があるからやっかいだ。
タテに振るのもダメなら吹くのもダメ、
どうしても消えない、そんな生命力の強い線香の火。
それが実はある。
どういうことかというと、まずいの一番に冬だ。
冬の乾燥した空気の中、特に屋外のお墓に行って線香に火をつけると、勢いよく炎を上げて燃えることが多い。
私も墓の前で男性が手に持っていた束に火をつけるとかなりの早さで燃えてしまい、何度吹いても消えない。
そんなところを見たことがある。
一輪の束のままにしたままだから熱が強まって良くない、と思ったのかその男性、束を分けたり広げて吹いてみるけれど処置なし。
何しろ2,3本束にしただけでもそんな風だった。
こんな時にはどうするの?
ということになるけれど、これこそ誰もが不可能なこと。
男性がどうやっても消せないのに、私たちがやっても無理。
だから、そのままお墓の線香受けに入れて自然に消えるのを待つ。
それでもうごかんべんしていただきたい。笑
水野江麻